社長も入れる労災保険~特別加入制度~

 令和3年9月1日、厚生労働省はフードデリバリーなどの自転車配達員とITフリーランスを、労災保険の特別加入制度の対象としました。

 労災保険は、本来、労働者の業務又は通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。
従って、事業主等(法人の代表者や役員、個人事業主等)は、その加入対象ではありませんので、業務に起因する負傷、疾病または死亡が起こったとしても、保険給付を受けることができません。

 また、健康保険に加入している法人の役員等は、上記のような業務に起因する保険事故が起こった場合、労災保険はもとより健康保険からの給付も受けられません(被保険者数が5人未満の事業所の役員は除く)。言い換えると、病院に行っても健康保険証を使えないので治療費などは、全額負担となってしまいます。

 そこで、中小事業主のように労働者と共に業務に従事する場合が多いこと、建設業の自営業者(いわゆる一人親方)のように業務の実態が労働者と変わらないことなど、労働者に準じて保護することが適当である場合には、労災保険への任意加入が認められています。これが特別加入制度です。

 つまり、令和3年9月1日より、自転車配達員やITフリーランスの方々も労災保険に特別加入すれば、業務上の事故に関し、労災保険より保険給付を受けられるようになりました。(自転車配達員の方の通勤災害に関しては対象外です。)

 ただし、労災保険の特別加入には、企業規模や労働保険事務組合に労働保険事務を委託していることなど、一定の要件があります。当法人では、鹿児島県産業福祉協会という労働保険事務組合を運営しており、中小事業主の労災特別加入及び建設業の一人親方の労災特別加入を取り扱っています。詳しくはコチラの鹿児島県産業福祉協会のページをご覧ください。

<参考>
厚生労働省「特別加入制度のしおり」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-5.html

厚生労働省「令和3年9月1日より労災保険特別加入制度の対象が広がります」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1_00001.html