新しい職員を雇い入れた時の健康診断について
新年度になり新しい職員を迎える会社も多いかと思います。
そこで今月は、この雇入れ時の健康診断の取り扱いについて確認します。
- 雇い入れ時の健康診断
会社は企業規模にかかわらず、常時使用する職員を雇い入れる時は医師による健康診断を行わなければなりません。
実施時期については法令等では「雇入れの際」と規定されています。明確な指定はないものの雇い入れの直前または直後で出来るだけ速やかに実施することを求められています。
※定期健康診断には医師が必要でないと認めるときには、省略できる項目がありますが、雇い入れ時の健康診断は下記の項目すべてを実施する必要があります。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者を雇い入れた場合は、その者が健康診断の結果を証明する書面を提出した時は、その健康診断の項目に該当する項目については省略することができます。
- 対象となる常時使用する職員とは
雇い入れ時の健康診断の対象者は、正規職員でなくても以下の両方の要件に該当する場合には実施する必要があります。
☑ 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある場合でも更新により
1年以上使用されることが予定される者、期間の定めのある場合でも更新により1年以上
引き続き使用されている者は該当します)
☑ 1週間の所定労働時間がその事業場の通常の職員の1週間の所定労働時間の
4分の3以上である者
※雇い入れ時の健康診断11項目(安衛則第43条)
① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④ 胸部エックス線検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
⑦ 肝機能検査(GOT、GPT、Y-GTP)
⑧ 血中脂質検査(LDHコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグルセライド)
⑨ 血糖検査
⑩ 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪ 心電図検査
- 雇い入れ時の健康診断の費用負担は
雇い入れ時の健康診断は、採用した会社に実施義務があります。しかし費用の負担についてまでは法律に記載されていませんが、通達(昭47.9.18基発602号)では「健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであること」としていますので、雇入時健康診断として費用が発生した場合には、会社が負担するのが一般的といえるのではないでしょうか。
※雇い入れ時の健康診断は所轄労働基準監督へ報告義務はありません。しかし新しい職員を雇い入れた際の適正な配属先や入社後の健康管理に役立てるためにも重要なものです。再度、雇い入れ時の健康診断の実施目的等を考えていただきたいと思います。